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黒い下着の女 第十九話

 1コインクリアに失敗したY男は、席を立った。プールしておいた五枚の硬貨(クレジットコインは全部で五枚だった。)は、そのままにした。景気がいいからこそ可能なことであった。『エクセリオン』でハイスコアを叩き出そうかとも思ったが、それもやめた。Y男は、ゲームセンターを出た。

黒い下着の女 第十八話

 それは、巨大なボックス型の筐体だった。レーザーディスクのゲームである。ゲーム名は、『サンダーストーム』。マイキャラ(というか自機というか)が軍用ヘリのゲームだ。Y男は、ゲーム筐体のスクリーンの端に数枚の硬貨を並べた。ゲームオーバー後も続投するためのクレジットコインだ。

黒い下着の女 第十七話

 Y男は、自分の住む区の〈センター街〉へとやってきた。視界のはるか遠方には、高層ビル群が建ち並ぶ。この位置からは、東京タワーは、見えない。Y男は、いまはゲームセンター(ゲーセン)に行くことにした。Y男は、ゲーセンに入った。ゲームセンターの場内は、喧噪につつまれている。喧噪の正体は、ゲームミュージックやゲームサウンドである。新時代にできたデジタルな“喧噪”である。Y男は、ひとつのゲーム筐体に近づいた。

黒い下着の女 第十六話

 2.市街 Y男は、街中にやってきた。東京都内の一角である。ウルトラモダーンな街路灯が町並を華やかなものに見せている(現在は、昼日中なので街路灯は、点灯はしていないが)。バイトをサボってフラフラしているY男。Y男の街でのおもな遊び場は、ゲームセンター、盛り場、SMクラブ、オールナイトディスコ等である。盛り場は、オールナイトディスコと同様のダンスミュージック系のクラブ等である。

黒い下着の女 第十五話

 しかし、ここでもY男は違和感を持った。たとえば、セックスのシーンでは、もろズボズボやっている場面というのは映し出されていない。たとえば、キスのシーンでは、男(男優)の顔は、やはり陰になっていて見えない。そもそも、この男優(?)は、存在するのか?そりゃあ存在することは存在するだろうが。手足等は、見えている(存在する)ので。ともあれ、Y男は、ビデオ『黒い下着の女』を観終えた。感想としては、この種のビデオ(アダルトビデオ)としては可もなく不可もない内容という印象だが、いろいろと違和感の残った観劇だった。 Y男は、ビデオの電源を切った。

黒い下着の女 第十四話

 Y男にとってそのあたりは謎だったが、そんなY男のうたがいを知ってか知らずかビデオムービーは進んでいる(画面の中で)。 あまり、ストーリーらしいストーリーもなく、ビデオは淡々と進む。あのシーンも、ある。キス、ペッティング、セックス...。ひととおりのセクシーシーンは用意されている。キスあり、ペッティングありのセックスシーンである。ただそれ以上の過激なプレイというのはない。ごく一般的なプレイシーンで完結している。だが、普通に興奮できるので、Y男も違和感なく、ビデオに没入することができた。