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黒い下着の女 第二十一話

 Y男は、その女性に見覚えがあった。 「あの女だ。」 そう、それは、あのビデオの主演女優である女だった。いや、Y男には、そう思えた。ただ、これは、Y男にそう思えただけのことかもしれない。前面は、あまりよく見ていない。しかし、後ろ姿の、あのウェーブのかかった長い黒髪は、あの女のものにちがいない(と、Y男は思った)。と、なぜか、Y男の脳内空間には、ビデオ画面に映ったあの砂の嵐の中の女の顔がよみがえった。Y男は、女のあとについていってみることにした。市街のデジタルカレンダーは、9月11日を表示している。市街の時計(アナログ時計)は、11時11分を指している。

黒い下着の女 第二十話

 Y男は、フラフラと街を歩いている。東京都心の街並みを。Y男は、一人の女性とすれ違った。クリーム色のスーツを着た、派手な雰囲気の女性だ。思わず振り返って見る、Y男。歩み去ろうとする女性の後ろ姿をまじまじと見つめるY男。後ろ姿から見える、その女性の髪の毛はウェーブがかかっていた。